神々の黄昏

Ali Project( アリプロジェクト ) 神々の黄昏歌詞
1.Visconti Chic (instrument)


2.病める薔薇(そうび)

作詞:宝野アリカ
作曲:片倉三起也

廃屋の庭の隅に
病める薔薇の 一株
匂いの亡霊たちが
過ぎし日々を 呼び覚ます

あの人の洩らす言葉
ひとつひとつに 胸を染め
汚れ知らぬ 少女のように
すべてを信じた

やがて死すべき その葉陰
恋の亡骸も埋もれて
なべて 土の中

いまそっと指に触れる
病みしもなお 赤き棘
わが憂い痛ましむ
気高き最後の抗い

忘れ去られし女にも
鮮らかに夢は 訪う
滲む血の如く

やがて朽ちゆく その葉陰
面影だけが仄揺れて
なべて 闇の中

いつまでも胸の奥に
病める薔薇の 一片
匂いの亡霊たちが
思い出を抱いて薫る

甘く甘く
哀しみを
彩るため


3.アンジェノワールの祭戯

作詞:宝野アリカ
作曲:片倉三起也

自鳴鐘の音が 消える午前三時
透きとおった 扉に映る影
手招きに 誘われて

花を燃やす香り 噎せるように甘く
漂うなかで 鍵を開けてしまう
ざわめきの 声の渦

今宵は 金の美酒
さあ お召しあそばせ
紅 肌を染め

ドアの外はカルナバル
見知らぬ人々が踊るの
誰も私にかまわないで
天使のままで生きていたい

貴方の顔さえ 忘れてしまったわ
杯のなか 沈んでゆく涙は
少しずつ 嘘の味

この世は 邪悪の蛇
巻かれて 惑わされ
それでも 愛したい

身も心もゆだねる
闇夜の帳の波間に
黒い薔薇の花を抱いて
天使のままで息絶える

今宵は 銀の雨
ああ 熱い矢のよう
終わりの ない祭戯

ドアの外はカルナバル
見知らぬ人々が踊るの
誰も私にかまわないで
天使のままで生きていたい

身も心もゆだねる
闇夜の帳の波間に
黒い薔薇の花を抱いて
天使のままで息絶える


4.百合と夜鶯

作詞:宝野アリカ
作曲:片倉三起也

月に羽根を染めた
夜鶯が舞い降り
馨しき憂いの百合へと
問いかける

何故あなたは
夜毎 花を濡らして
美しい宵を
ただ泣いて過ごすの?

それは恋しい人が
娘を抱くから

やさしく触れた指が
忘れられずに
枯れるだけのこの身が
哀れで悲しい
あの人の胸のなか
香れるならば
一夜の命も惜しまぬのに

百合は答えあまく慄える

森の苔の褥
彷徨うのは娘
葉末の間から
夜鶯は訊ねる

何故あなたは
ひとり暗い小径を
茨に血を流し
迷い込んだの?

それは恋しい人が
去って行ったから

移ろい変わるものは
時だけじゃなく
人の愛と心と
知ってしまったの
愛しい腕のなかに
戻れぬならば
もう夢の欠片も見えぬでしょう

長い髪に 薄闇が散る

やがて娘は
朽ちた百合の根元に
倒れてその目蓋を
閉じて動かない
乱れるように開く
花の底から
黄金の花粉が降り注ぐ

移ろい揺らぐものが
儚いのなら
清らかなまま昇る
魂はどこへ
白い墓標の上で
囀る夜鶯は
天使の翼に憧れて

一晩中
羽搏きました


5.彼と彼女の聖夜(イヴ)

作詞:宝野アリカ
作曲:片倉三起也

ルーベンスの絵のような
雲が空に溶けて
街中にジングルベル
鈴のようにわらう子供

銀のモミの木見上げ
ふたり手をつないだ
心はもうどんな日も
凍えたりしない

こんなに気持ちが
きれいにかがやく夜が来る

そっとMerryChristmas 雪のかけら
頬に触れて消えるの
ずっとMerryChristmas 終わりのない
愛はあるの?
目を閉じて祈る

白い教会の屋根
ながれる賛美歌
生まれるその前に
聞いた気がするわ

誰もがやさしく
誰かを守ってるいつでも

だからMerryChristmas 星は灯る
世界中の窓辺に
きっとMerryChristmas 離さないと
約束して
それが贈りもの

I love you, MerryChristmas
涙になるあふれそうな想いは
I love you, MerryChristmas
愛しているだけじゃ
とても伝えられないの

そっとMerryChristmas 夢が降りる
もうひとりじゃないのね
ずっとMerryChristmas 終わりのない
愛があるの
この胸のなかに


6.蜜薔薇庭園

作詞:宝野アリカ
作曲:片倉三起也

緑の指で ここにいない あなたを
なぞりつづけて 夢の扉 探せば
乾いた くちびるにのせ 唄う恋も 潤みだす
Rosengarten
秘密の茂み 埋もれ咲くのは 蜜薔薇
Rosengarten
うす絹 脱いで 纏わりつく薫り抱き
切ない記憶を燻らす この身は香水塔

迷い込んだら けして逃れはしないと
小さな棘は 赤く熟み肌を刺す
この痛みが消えるとき 月は満ちてゆくのでしょう
Rosengarten
奥深くへと 羽音みちびく蜜蜂
Rosengarten
眩暈の淵で あなたの名前 呼ぶから
今宵の睡りのどこかで きっと聞いてください

この想いを失って 生きるなど できるでしょうか
Rosengarten
秘密の園も いつか 荒れ果てるのなら
Rosengarten
涙の雫 まだ甘く零れるうち
わたしの心を溶かして まだ見ぬ莟に捧ぐ


7.月光夜

作詞:宝野アリカ
作曲:片倉三起也

月光の冷たさに
骨がそっと 氷る
雪のような胸の下は
赤い薔薇のシャーベット

蜉蝣の翅も軋む
眠りへの階段
踏み出すたび 痛みの欠片
ひとつふたつ こぼれて融ける

糸杉の間に間に
ゆれるのは魂
世にもやさしい目で
わたしを見ている

少しだけ今だけ
生きるのを止めよう
すべてを忘れたら
もういちど目覚める

月光は 銀の爪で
絹の糸をつむぎ
縫い綴じるよ 玉兎(うさぎ)の見た
いつか降りる 終嫣の悪夢(ゆめ)

心はこんなにも
儚い匣だから
ひとつぶの涙の
重さを知ってる

少しだけ今だけ
生きるのを止めよう
何もかも忘れて
もういちど生まれる

糸杉の間に間に
ゆれるのは 魂
世にもやさしい目で
あなたを見ている

少しだけ 今だけ
生きるのを止めよう
何もかも忘れて
もういちど生まれる


8.神の雪

作詞:宝野アリカ
作曲:片倉三起也

触れたきものは
仄蒼き頬の下
かよう血汐の
生き急ぐぬくもり

時をつなぎ止めるため
あなたを抱く
肩の向こう見上げる冬の
夜は羽摶き

いま私に舞い落ちるのは白い雪ではなくて土
冥い闇の底にひとり安らかに埋もれよう
この世で大事なものを幾つも失くしてきたのになお
まだあなたの美しい横顔に惹かれるのか
果てもなく 狂おしい祈りのように

踏みしだかれた
薄氷の上に立つ
足元すくう凩
天の奈落 越えて届く
ひとひらの夢
縋れるならば

いま私に降り注ぐのはやさしい雪ではなく炎
この手で消す術も持たずただ焼かれ朽ちるため
この世に変わらぬものなど在りはしないとわかってなお
なぜ人はどんな日も無きものばかり望むのか
罰のように 汚れ染みぬ想いに変えて

どうかあなたを包むのは冷たい雪ではなくて星
その輝きに焦がれて私は息絶えるだろう
この世に悲しきことは尽きぬほど満ちたと知ってなお
なぜこうも易々と涙はあふれるのか
罪人のように
いつまでもその腕のなかで


9.Vanitas (instrument)


10.マリーゴールドガーデン

作詞:宝野アリカ
作曲:片倉三起也

こもれび舞う 鳥のさえずり
朝陽にかがやく 光の輪の庭
聞こえてくるの やさしいソプラノのあの声
パラソルの影の中 ほほえむ人よ

オルゴールの 蓋を開ければ
よみがえりし世界 馨しき時間
小さな頃 ときめく夢

悲しみを知った今も
胸の痛みに 涙するたび
それは 光の花 こころに咲く
あの瞳のように

目を閉じれば 帰ってゆく
愛する者に囲まれ
いつの日にか 思い出を恋うる
あれは 遥かな国
宝石より 美しきものよ

咲きみだれる マリーゴールド
天使の羽根音 幼子の眠り
奏でているの 子守歌の調べ
遙かに 過ぎし日は 鳶色

あまき夢の庭で遊ぶ あの日


11.JE TE VEUX(Erik Satie)